うちの家族は全員くっきりとした二重で、特に目鼻のパーツが大きめで顔立ちのくっきりとした妹などはハーフっぽいと言われるほどでした。
母方からの遺伝のようで、母も祖母もくっきりとした派手めの顔だちです。
対して私は家族の中でも一人だけ一目で、何となく肩身の狭い思いをしていました。
もちろん父や母が一重の瞼を馬鹿にしたり、からかったわけではありません。
しかし家族全員揃った集合写真などを眺めていると、自分だけ純日本人的な顔立ちなのが悲しく、悔しいような思いさえしたものです。
気にしていないふりを装いつつ、実は内心コンプレックスでいっぱいだった私が変わったのは社会人になってから数年目のことでした。
その頃働いていた職場にはお洒落に気を使う女性が多く、エステや美容サロンなども頻繁に行く人が多数でした。
その中の一人にとても綺麗な女性がいて、性格も優しく、仕事もてきぱきとこなすようなマドンナ的存在でした。
この女性は綺麗な顔立ちをしており、瞼も二重です。
彼女を信頼していた私は、お酒の席でふざけながら瞼に対するコンプレックスを打ち明けました。
すると驚いたことに実は彼女のくっきりとした瞼は整形で作ったものだったのです。
お酒のグラスを手にしながらさらりと打ちあげてくれた彼女に、後悔はないようでした。
考えてみれば整形は今や多くの人々が挑戦しており、世界的にも認められたものです。
技術も進化しており、よっぽど全身の整形でなければ普通に働いていれば手が出るぐらいの値段になっています。
ましてや私が悩み続けていた瞼については手術を希望する人も多く、その分だけ手法が確立され、金額も納得いくものになっています。
これだ、と思いました。
二重への手術を決めた私は、早速美容整形を行っているクリニックを探しました。
万が一の場合や、通いやすさを考慮して自宅から近く横浜の先生に診て貰うことになりました。
初めて訪れたクリニックはとても綺麗で、サロンのような雰囲気に圧倒されたのを憶えています。
緊張でがちがちになっていた私を、受付のお姉さんが優しく案内してくれました。
二重への手術はそれほど難しいものではなく、日数などもあまりかからないことが判りました。
提示された金額にほっとしたのもこの時で、今まで働いてきた貯金で充分賄えるものでした。
先生にコンプレックスを話すのは少し恥ずかしかったのですが、長年抱えてきたものからやっと解放されるかと思うと浮き立つような気分になりました。
あとは家族への説明をどうするかです。
父母の機嫌が良い時を見計らって、実は二重手術をしようと思うと切り出しました。
この時に予想外だったのは、父よりも母が反対したことです。
今のままでもかわいいのにと母は言ってくれたのですが、父は子供時代から続く私のコンプレックスを理解しており、それもまた一つの方法だと母を説得してくれました。
妹はあっさりとしたもので、私の手術が成功するなら、自分も美容整形を受けてみたいと言い出して家族を驚かせました。
事前に調べていた通り、手術自体は時間もかからずあっさりと終了しました。
その後の腫れもあまり出ず、休日を有休を合わせて少しだけ仕事を休んだ後に職場に戻りました。
瞼の様子を見た同僚は驚きましたが、とても可愛くなったと褒めてくれたのが嬉しかったです。
妹と同じように、自分も受けてみたいと言い出す人が多かったのは、興味はあるけど実際にクリニックに行くまでの勇気はなかなか出ないという人が多いからかもしれません。
私は長い間こっそり苦しめられていたコンプレックスから解放されて晴れ晴れとした気持ちです。
鏡を見るたびやってよかったと思いますし、とても満足しています。
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